泥足を残した代掻地蔵
どんな伝承か
立根町堰口に関口という旧家があり、猪川の前田に流れる川の入口にあたるこの地に、地蔵尊を祭る祠がある。昔、関口家が馬四十八頭を使って代掻きをしたとき、サセドリが一人足りなかった。田の水を見に来たらしい若者に頼むと快く手伝い、たいそう上手にまたたく間にやってのけた。昼食を食べさせようとすると若者は姿を消し、昼過ぎになるとまた現れて黙々と働いた。夕方、代掻きは早々に終わったが、礼をしようとするとまた姿が見えない。帰り道に日頃信心する地蔵を拝みに寄ると、祠の板の間に地蔵の泥の足跡がついていた。人々は若者が地蔵の化身だったと悟り、以来これを代掻地蔵と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。