老妻に代わり馬を引いた童子
どんな伝承か
飯豊の阿弥陀堂は鼻取り阿弥陀と呼ばれ、次のような話が伝わる。昔、藤右衛門という年老いた農夫がいた。田植えのとき老いた妻に馬の鼻取りをさせたが、妻はすぐに疲れて馬を引けなくなった。藤右衛門が腹を立てて綱で打とうとしたその時、十二、三歳ほどの童子が現れ、老婆に代わって馬を引いてくれた。その日の作業が終わると童子は山へ登って去った。藤右衛門が馬を洗い農具を片づけてから夕食に招こうと山を訪ねると、童子の姿はなく、泥に汚れた阿弥陀像が一体あるばかりだった。驚いた藤右衛門は信心を起こし、一宇を建ててこの像を安置したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。