政宗の枕もとに現れた童子
どんな伝承か
寛永十三年四月、伊達政宗は江戸へ発つことになり、隠居所の若林館で出立の祝いが行われた。宴のあと寝所に入った政宗を、モシモシと肩を揺すって起こす者がいた。目を開けると枕もとに十二、三歳ほどの見なれぬ童子が坐っており、もう時刻ですのでおいそぎくださいという。政宗は起き上がろうとしたが体が動かず、人を呼んだ。駆けつけた腰元には童子の姿が見えず、政宗が指さすと童子は立って障子のほうへ消えた。政宗はそれから一月余りのちに江戸で亡くなった。この童子はザシキワラシであったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。