宮中の阿比舎法と松尾明神
どんな伝承か
インドの経典には、魔醯首羅天が説いた阿尾奢法という、子どもに神を降ろす法がある。七、八歳の傷のない賢い子を選んで精進と沐浴をさせ、壇に立たせて真言で加持すると、子が震えだして聖者が身に入るので、未来の吉凶を尋ねるのだという。日本でも貞観三年に、天皇の命で宮中でこの法が修され、二人の童子が呪縛された。何者かと問うと、童子は自分は松尾明神だと答えた。天皇はいぶかしみ、源僕射に心中で疑っている事柄を尋ねさせたが、童子はいくつもの事を言い当て、どれも天皇の思うところにかなっていたと元亨釈書は伝える。
原典より
貞観三年宮中に勅して阿比舎の法を修し、二童子を咒縛す。—— 心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年))
『心霊現象の科学』は、小熊虎之助が心霊現象を科学の立場から論じた研究書で、序とあとがきに昭和四十九年四月の日付がある。コックリ・自働書記・読心術・憑きものなどを心理学で説ける偽心霊現象とし、精神感応・交霊・千里眼・心霊物理現象を真実の心霊現象として心霊現象研究会の報告から吟味する。福来友吉が能力者とした三船千鶴子・長尾夫人・高橋夫人・三田光一の透視と念写は山川健次郎らの実験と照らして疑い、あとがきでは井上円了以来の研究史を概説する。