春土用前に牛蒡を蒔く
どんな伝承か
農業の迷信を集めた章の牛蒡の項に、第三十一例として、春土用前に牛蒡を蒔くという言い伝えが、新潟県筒石の漁村から報告されている。続く第三十二例は新潟県聖籠の、土用に牛蒡を蒔けば葬式の牛蒡になるというもの。筆者は、牛蒡の播種は春に決まっているのだから第三十一例は当然のことで、第三十二例もその意味では正しいが、土用に牛蒡を蒔かせないために人の忌む葬式に結びつけた点に迷信らしい飛躍がある、と述べる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。