朝に猿と言うと仕事が捗らぬ
どんな伝承か
文部省の迷信調査協議会の俗信調査で、仕事や日常の禁忌に関する最後の例として、香川県財田(農村)から「朝起きにさるといえばその日は何をしても仕事が捗らない」が第一〇三例として報告された。原典では前条の「家の中で卵子をきるとナスビがならない」と同じ土地の例として(同右)の形で示されている。朝一番に猿という語を口にすることを忌む言葉の禁忌である。同書には漁業の項にも兵庫県学習(漁村)の「出漁中猿のことを話せば途中で帰る」があり、猿を口にすることを忌む例が別の生業でも報告されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。