大猿の塚
どんな伝承か
昔、木頭のカゲダニという所に年老いた大猿がいた。身の丈五、六尺、体中に木の脂を塗り固め、カラタチの藪でも平気で通り抜けたという。ある男が犬を六頭連れて退治に行ったが、犬は尾を巻いて逃げてしまい、大猿は鉄砲にかみついてきた。男はやっとこれを撃ち殺した。猿を埋めた塚は今もあってシメが曳いてある。男は死ぬとき、自分の家が続く限り鉄砲打ちを出してはならぬ、出せばきっと祟られると遺言した。今でも猿の歯型の残った鉄砲があるという。
原典より
昔、木頭のカゲダニという所に猿の老いたのがあって、身の丈五〜六尺、体中に木の脂をぬりかため、カラタチの藪でも平気で通りぬけることができた。—— 阿波木頭民俗誌――伝説・妖怪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波木頭民俗誌――伝説・妖怪
『阿波木頭民俗誌――伝説・妖怪』は、阿波の木頭地方の民俗誌のうち、「八、伝説・妖怪」の節と、阿波の太布を論じた一篇を収めたものである。前半は北川・折宇・蟬谷などの平家落人の話、平家の皿泉、カマ(滝壺)の大蛇、山爺やアセゴノマン、フルソマ、怪火、狐、隣の槙山村の塚の伝説を、『郡誌』の記事と古老の話から述べる。後半は太布に関する文献を挙げ、祖谷と木頭での聞き書きと製品の調査から原料・製法・道具を記す。