名主の娘と沼の主
どんな伝承か
ある所に大金持ちの名主がいて、美しい娘がいた。年頃になった娘は気分がすぐれないと寝たり起きたりが続き、食事もろくにせず痩せていくばかりであった。ある日、名主が大沼のほとりを歩いていると、沼の底から「おれはあの名主の娘におれの子供を仕込んだ。だが五月五日にショウブとヨモギをせんじてのむと子供がおりてしまう」という声が聞こえた。娘に問うと、数ヵ月前の晩にきれいな若衆が来て泊まっていったという。名主は沼の主の大蛇の仕業と悟り、五月五日に娘へショウブとヨモギを煎じて飲ませ、村の衆に火薬を作らせて大沼へ投げ込むと、大蛇が死んで浮かんだ。以来、村では五月の節句にショウブとヨモギを軒にさすようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史・自治体史(民俗))
『騎西町史 民俗編』第9章所収の伝説・昔話・妖怪。埼玉県騎西町(現加須市)に伝わる口承を採録する。