鏡沼の雨乞いで消えた褌
どんな伝承か
会津と下野の境の水上にある鏡沼は、周りを小高い丘が囲み、水底がよどんで青黒く、そよ風くらいでは波一つ立たない沼だという。雨乞いのためにこの沼へ行った折、音金の男が水辺で褌を洗ったところ、水が急にくるくると渦を巻き、褌はそのまま水中へ引き込まれてしまった。同時に体じゅうへ悪寒がしみ渡り、電気を通されたように心がしびれて、地獄とも極楽ともつかぬ境をさまようような心地になり、どうすることもできなかったと伝えられる。鏡沼は大蛇を主とする沼として、ほかにも数々の話が語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史)
『下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説』は、会津の下郷町の町史民俗編のうち、町内の伝説を集めた第二節である。鏡沼の大蛇や二岐山のダイタンボウ、狼に食われた祖母、湯野上温泉猿湯の由来、高倉宮以仁王と桜木姫・紅梅御前の落人伝説、伊達政宗の戦の悲話、小野の長者と小野観音の金の鰐口などを収める。伝説を自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分け、各話に地名や供養塔・墓・文化財の現状を書き添えている。