鏡沼の天女の恩返し
どんな伝承か
当町の東南方、那須岳への途中に鏡沼という不気味な沼がある。源平の時代、下野国の那須の八郎という強弓の郷士が狩に出て三斗小屋から会津に入ると、密林でむかでと大蛇が争い、大蛇が咽喉をかみ切られて苦しんでいた。八郎は矢につばきを付けて放ち、むかでを退治した。二、三年後、雨やどりに来た西国巡礼の娘と八郎は結ばれるが、産屋を覗くなという戒めを破って戸を開けると、そこには大蛇が難産に苦しむ姿があった。娘は自分は鏡沼の大蛇で、むかでを退治された恩返しに来たと明かし、宝玉を残して雲竜となり沼へ飛び去った。後に子を連れて訪ねると、罪を許されて天に昇ると告げたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史)
『下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説』は、会津の下郷町の町史民俗編のうち、町内の伝説を集めた第二節である。鏡沼の大蛇や二岐山のダイタンボウ、狼に食われた祖母、湯野上温泉猿湯の由来、高倉宮以仁王と桜木姫・紅梅御前の落人伝説、伊達政宗の戦の悲話、小野の長者と小野観音の金の鰐口などを収める。伝説を自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分け、各話に地名や供養塔・墓・文化財の現状を書き添えている。