昇る龍を招いた女中と与呉神社の石灯籠
どんな伝承か
小泉町の与呉神社の入口に、元亀二年と読める古い石灯籠が一基ある。土地改良の前は六十メートルほど東にあり、近くを流れる中川には洗い場があった。ある時、木下七兵衛家の先祖の家で働く女中が洗い場で飯びつを洗っていると、目の前を龍が昇っていくのが見えた。思わず杓子で招いて人に知らせると、龍はたちまち地に落ちた。その夜から女中は高熱を出してついに亡くなり、七兵衛家の先祖が供養のためにこの灯籠を建てたという。別に、灯籠の南一帯を十五堂と呼び、墓石や梵字の石が出たことから、昔あった十五堂というお堂の辻灯籠だったとする説もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。