土地を押しつけ合った平井と大倉の境杭
どんな伝承か
昔、平井と大倉が地境をめぐって争った。大倉はもともと土地が広すぎて耕しきれず、夜の闇にまぎれて境の杭を大倉の家の近くまで動かして打ち込んだ。気づいた平井も、土地が広くなっては困ると杭を平井の近くへ打ち直した。これを何度となくくり返したという。いまでは理解しがたいが、当時は耕地の少ないことが望まれたらしい。争いは、大倉の家の雨だれの落ちる所が平井との境となって決着し、平井の耕地が広くなったので大倉の勝ちとされた。大倉の用水の幹線がすべて平井を通っていることから、平井が大倉から分かれた村なら事実だったのかもしれないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。