赤子の声で送り狼を捕えた浪人
どんな伝承か
吉江町の東町から射的場跡を通って北陸道へ抜ける浜街道には、ときどき狼が出て通る人を悩ませ、村人はこれをおくりおかと呼んだ。三百年ほど前、吉江町に住みついた浪人が退治に乗り出し、真ん中に穴のあいた戸板を持って一の窪という所へ行き、大きな穴を掘って中に入った。戸板でふたをして草をかぶせ、赤子の泣き声をまねて待つと、狼が寄ってきて戸板の穴に足を差し入れた。浪人はその足を下からつかみ、戸板ごと担いで帰って村人に打ち殺させた。狼の頭骨はいまも浪人の子孫の家に伝わり、大正の末ごろまでおこりを落とす呪いとして借りられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。