村正に斬られた雲水と右腕のない石亀
どんな伝承か
およそ三百年前、今の盛隆寺が膳隆寺と呼ばれていたころ、一夜の宿を乞うた旅の雲水が、夜中に住職を脅して金を出せと迫った。住職が近所へ助けを求めに行き戻ると、寺の宝物である村正の銘刀で雲水の右腕が根元から切り落とされ、雲水は倒れていた。近所の者がその雲水を竹すに巻いて赤堀川へ投げ込んだといい、以来赤堀川には右腕のない石亀がいたと伝えられ、実際にこの亀を見た村人も多いという。雲水は安仙という名だったため、投げ込んだ場所を安仙淵と呼んでいた。
原典より
およそ三百年前、今の盛隆寺が膳隆寺と呼ばれていたころ、ある夜、旅の雲水が一夜の宿を乞うたので泊めたところ、夜中に、突然住職をおどして金を出せとのこと。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。