むじなのきん玉
どんな伝承か
むかし、じいさまが山で炭を焼き、腹がへるとばあさまが作ってくれたよもぎ入りの焼付団子を竈の灰で焼いて食べていた。冬のある夜、大きなムジナがのそりと小屋に入ってきて、寒くてかなわないから当たらせてくれと言う。竈の前を空けてやると、体が温まるにつれて曲げていた足を広げ、大きなきん玉が広がった。じいさまは、そのきん玉を見たら腹が一杯になったと言い、団子をきん玉の上に載せてやると、ムジナは食べて出て行った。味を覚えたムジナが毎晩来るので、じいさまは団子ほどの石を焼いて待ち、きん玉の上へ投げつけた。ムジナは飛び上がって逃げ、それきり炭焼小屋へ来なくなったという。
原典より
むかし、じいさまが、山で炭を焼いとったと。—— 鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。