白岩の狢の銭
どんな伝承か
白岩の狢が鉄砲撃ちに撃たれて足を怪我した。そこで人間に化け、和倉へ温泉湯治に出かけたところ、一週間ほどで傷は癒えた。帰り道は越中の人と連れ立ったが、古府に年老いた犬がいたので、連れの袂に顔を隠してもらって無事に通り過ぎた。二宮の在所口で一杯呑んで別れる際、狢は「実は自分は白岩の狢だ。顔を隠してもらった礼だ」と言い、柿の葉を渡した釣銭にあたる、酒屋でもらった本物の銭を差し出した。そしてスポーッと狢の姿に戻り、山道を駆け上がっていったという。
原典より
むかしの人がいうがであ、白岩の狢が鉄砲打に撃たれて、足を怪我したげ。—— 鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。