王瀬長者と鮭の大助小助
どんな伝承か
信濃川と阿賀野川の合流するあたりに、大助小助という鮭の夫婦が棲むという。漁師たちはこれを神のように恐れ、十一月十五日を漁の謝恩の日と定めて網を入れなかった。沼垂の横暴な豪族王瀬長者はこれを快く思わず、当日に大助小助を捕らえよと漁師に命じる。前夜、長者の枕もとに男の子と女の子が現れ、二匹は乙姫の家来で両川の守り神だから見逃してほしいと願ったが、長者は聞き入れなかった。翌朝網を入れても捕れず、やけ酒をあおっていると、銀の袍に黒い烏帽子という品のよい老人が鰻に似た魚を献じた。長者が妻妾とともに喜んで食べると、たちまち皆が死んだという。法光院にある石塚は長者の古碑と伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。