経石で大蛇を退けた袈裟掛松
どんな伝承か
親鸞が五十日のあいだ続けて信濃の戸隠神社へ参拝した折、その道中の決まった場所に大蛇が現れて行く手を遮った。上人が直江津の浜で拾ってきた礫に経文を一字ずつ書きつけて投げると、大蛇は姿を消したという。その近くには、上人が袈裟を掛けて休んだと伝える袈裟掛松がある。のちに大蛇を済度したあたりへ屋敷を構えて住んだ家では、代々知恵の足りない子が生まれた。修験者に見せると、家の下に経文を書いた石が埋まっているせいだと告げられ、掘ったところ本当に石が出た。この石は信州野尻の真光寺と関川の十善寺に宝物として残り、水に漬けると経の文字が浮き出るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。