旅僧を背負った立竦如来
どんな伝承か
京から越後へ流された親鸞が、天下の難所として知られる親不知子不知にさしかかった。波が高くて足を止めていると、年老いた立竦という漁師が近づいて背負い、安全な場所まで送り届けてくれた。その後、上人は外波村の神官大文字屋右近の軒下で一夜の宿を乞うたが断られ、野宿して石を枕に寝た。その晩、右近夫妻が日ごろ信仰する弘法大師作という如来を見ると、腰から下が濡れ、足は砂だらけで後ろを向いている。旅僧を背負ったのはこの如来だったと気づいた夫妻は、急いで招き入れて詫び、のち帰依して草庵を建てたという。この如来は立竦如来と呼ばれて参詣者が絶えず、親鸞草枕碑も旧外波村の西口に建っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。