娘を解剖した名医と録事尊
どんな伝承か
下粕尾の常楽寺に祀られる録事尊は、鎌倉のころ当地に生まれた名医中野智玄をまつるものだという。智玄は若くして宋に渡り医術を修めたが、ひとり娘の小春の奇病だけは治せなかった。小春はあてのない旅に出て、神仏の告げによる伊吹山の七つ葉の蓬でようやく命を拾う。治った理由を知ろうとした智玄はついに生体解剖に及び、娘を死なせてしまった。妻とは別れ家は離散したが、旅の末に腕を磨き、後鳥羽天皇の重病を治して録事法眼の位と領地を賜り故郷へ帰ったという。
原典より
粟野町下粕尾の瑠璃光山蓮照院常楽寺にある録事尊は、鎌倉時代の当町出身の名医といわれる中野智玄を祀るものであるという。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。