栃木の狸貉同種訴訟(たぬき裁判)
どんな伝承か
栃木県上都賀郡大萩村字酒野屋の橋本伊之吉は、狸と貉を同種としたことが罪とされて罰金二十円に処せられた。これを不服として大審院に上告したところ、大正十四年六月九日に無罪となった。理由は、動物学上は同種類であるが通俗的には異なる、というものである。これによって、狸と貉は法律上は別物ということになった。もともとたぬきもむじなも同一物で、ただ名称が違うだけであり、『新編常陸国志』は筑波郡狸淵村をムジナフチと読むと記している。
原典より
栃木縣上都賀郡大萩村字酒野屋橋本伊之吉は狸と貉を同種としてある罪で罰金二十圓に處せられたのを不服として大審院に上告したが、大正十四年六月九日に無罪になった。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。