小石が山と積もる名医甲斐徳本の墓
どんな伝承か
信濃国下諏訪の東堀村尼堂に、寛永七年に百余歳で没したと伝わる名医、甲斐徳本の墓がある。墓のかたわらにある小石を一つ持ち帰り、痛むところを撫でたり、その石を洗った水を湯にして飲んだりすると効き目があるという。願いがかなったら、持ち帰った石の倍の数の小石を納めるのが習わしで、そのため墓のまわりには小石が山のように積み上がっている。名医の治療の力が死後も小石にまで宿ると考えられたのだろう。
原典より
墓のそばの小石を一つとって来て痛むところを撫で、あるいはその小石を洗った水を湯にして飲むと効験があるといい、…—— 日本の俗信 第3――生活慣習と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1955年(昭和30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 第3――生活慣習と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1955年(昭和30年))
『日本の俗信 第3――生活慣習と迷信』は、文部省に設けられた迷信調査協議会が昭和三十年に編んだ調査報告書である。昭和二十四―五年の全国の国民慣習調査をもとに、暦の吉凶、霊魂信仰、民間療法、運勢判断などの迷信・俗信が、地域・年齢・性別・職業によってどの程度信じられているかを分析する。原田種雄・今野圓輔・赤松金芳らが分担した九章からなり、第九章に全国から集めた縁起・言いならわしを禁忌・民間療法・卜占・たたりなどに分けて収める。