歯痛平癒に萩の小箸を奉納する寺
どんな伝承か
歯痛については各地に魔法的な民間療法があると記される。大坂城付近の『歯神大明神』では、毎月二十一日に歯痛止めの箸といって杉の木の箸一対を白紙に包んだものを受けてきて、この箸で一週間飯を食えばよいという。京都深草の『ぬりこべ地蔵』には歯痛平癒を願う参詣が多い。これらと並べて、東京南多摩の由木村の某寺では、同じく歯痛の治癒を祈り、御礼に萩の小箸を奉納するという。そのほか「天竺の天の川原で歯を喰う虫の供養」と三遍唱え、梅の木の楊子を痛む歯にくわえさせ、楊子の先に灸をすえると治るともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 第3――生活慣習と迷信(文部省迷信調査会・日本の俗信・昭和30年(1955))
文部省迷信調査会『日本の俗信 第3―生活慣習と迷信』(昭和三十年)。昭和二十一・二十五・三十年の三次にわたる全国国民慣習(迷信俗信)調査の集大成で、岸本英夫委員長のもと今野圓輔・古畑正秋・赤松金芳らが分析した。第一章では調査の経過・目的(術者と方術/妖怪霊魂つきもの/迷信に関連する人々/林業漁業食物の俗信)と15問の調査票による全国統計、迷信に肯定的/否定的な人々の属性分析、農林業・漁業従事者の迷信を扱う。