押さえても浮き上がった膿胸の少年
どんな伝承か
長野県下諏訪町の小口惣三郎さん(六十歳)は、一九三三年、旧制中学三年のときに膿胸を患い、肋骨を二本切除してウミを吸い出す手術を受けた。ウミを取りきれず体は衰弱していき、ある晩強い悪寒に襲われたあと心地よい眠気とともに体が浮き上がるのを感じた。必死で抑えようとしたが天井近くまで上がってしまい、しばらくその辺りをフワフワと浮いていたという。お花畑や川は現れず、下から人のざわめきのようなものを感じただけだったと語っている。
原典より
必死でおさえようとしましたが、どんどん高く上がっていき、とうとう天井近くまで浮き上がってしまいました。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。