南方熊楠の幽体離脱体験(那智山)
どんな伝承か
南方熊楠が『人類学雑誌』に寄せた「睡眠中に霊魂抜け出づとの迷信」に記した体験。七年前の厳冬、那智山にひとり住んでいた熊楠は、空腹のまま臥していると、終夜、自分の頭が抜け出して家の横にある牛部屋のあたりを飛び回り、闇夜の中でその様子をありありと詳しく見ることができた。自分でも精神が変態にあると知りながら、繰り返し同じことが起こるのを禁じ得なかったという。熊楠は粘菌採集のため熊野の山中を歩き回り、しばしば霊魂が身体から抜け出す体験をしたと書き残している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。