正月に風呂を焚かぬ家
どんな伝承か
上永野には戦に敗れた武者の話が伝わる。武者は永野川をさかのぼって落ちのび、いまの上永野の落合にあたる山あいの平地を見つけて住みついたという。ところが正月を迎え、風呂を沸かして湯につかっているところを敵に見つかり、攻められて命を落としてしまった。その後、この武者の血を引く家では、先祖が正月の湯浴みの最中に討たれたことを悔い、三が日のあいだは風呂を焚かない習わしを守るようになったと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。