八束城に籠った羊太夫
どんな伝承か
奈良時代、朝廷は上野国に多胡郡を新たに設けて羊太夫に与えたと伝わる。羊太夫は八束小脛に馬を引かせ、日ごとに都へ参内していたという。ところが小脛の脇の下に生えていた白い羽を抜き去ったため不思議な力は失われ、参内もかなわなくなった。朝廷は長島宿祢を差し向けて討たせ、羊太夫は城に籠って七日七晩防いだが、ついに落城し、白馬と化して飛び去ったという。妻ら七人は七根館を逃れ、落合まで来て自害し七興山に葬られた。羊太夫は秩父へ逃れ、大般若経六百巻を七日で書き上げたとも語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。