経石で鎮めた鳥栖の幽霊
どんな伝承か
承久三年、この地の地頭であった平高時の妻が、十九の若さで難産のため世を去った。寺の境内に葬られたが、夜ごとその姿が現れるので参詣する者が絶え、寺は廃れるにまかされた。折しも親鸞が雲谷の草庵から鹿島神宮へ向かう途上、青柳を経てこの村を通りかかる。村人の願いを聞いた親鸞は、鹿島からの帰り道に寺へ寄り、村人に小石を集めさせて浄土三部の経を一石一字ずつ二万六千余字書き写し、幽霊の出る墓へ納めて念仏を唱えたという。それより幽霊は菩薩の姿となり、その墓は女人成仏御経塚と呼ばれるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。