堰の人柱となったおさなご姫
どんな伝承か
おさなご堰は、東野の上合で玉川へ注ぐ小さな支流に築かれた堰である。四五〇年ほど前、このあたりは人家も田もわずかで人々は貧しく、堰から水を引いていたが、雨が少し激しく降ると沢の水かさが増して堰は流された。村人は財産をはたいて修理を重ねたが、ある年の梅雨がまた堰を跡形もなく押し流した。そこへ現れた旅僧が、沢の奥に住む大蛇の仕業だから土地の生娘を人柱に立てよと説く。娘を持つ者が他国へ逃げ出すほどの騒ぎになったが、新谷の長者の一人娘おさなご姫が自ら名のり出た。姫は白装束で穴に身を沈め、それからはどんな大雨が続いても堰は崩れなくなったという。
原典より
<高木——「阪田,池片端梅」「備前道丁」「順礼樋管」>おさなご堰は、東野の上合地区で玉川に注ぐ小さな支流につくられた堰の名前である。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。