河童の指と引きかえた岩瀬万能膏
どんな伝承か
静駅から東北へ二キロ半ほどの上岩瀬に、真木了本という医者が始めた岩瀬万能膏という薬がある。天明のころ、牛久沼のほとりに住んでいた一匹の河童が誤って指を切り落とした。そこへ通りあわせた真木家の先祖が、その指を拾って家へ持ち帰ったところ、河童はしきりに返してほしいと哀願し、引き換えに仲間のあいだでよく効く傷薬の秘伝を授けようと言い出した。このとき伝えられた傷薬を、真木家では今も万能膏として伝えているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。