鬼七三を淵に引いた湯西川の河童
どんな伝承か
村に七三という男がいた。腕力が強く乱暴だったので鬼七三と呼ばれ、村人から恐れられていた。あるとき隣村へ行こうとして湯西川の淵にさしかかると河童が現れ、川へ引き込もうとしたが、七三は腕に覚えがあるので河童を投げ倒し、悠々と川を渡った。翌日、用を済ませて同じ場所へ来ると、また河童が出た。今日こそ息の根を止めてやると躍りかかったが、悲鳴をあげたのは七三のほうだった。数日後、村人は川辺で変わり果てた七三の骸を見つけ、河童に尻を抜かれたのだと言い合って、あらためて河童の恐ろしさを知ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。