心の清さに応えて湧いた水
どんな伝承か
大能は水がひどく不便な土地で、風呂の水も担ぎ棒で運び、一週間に一度しか汲めなかった。茶碗を洗った上水で雑巾をかけるほど水を惜しんで使っていたという。そこを通りかかった坊さんが、水を汲んで行く女においしそうな水だと声をかけた。はじめの女は遠くから汲んできたものだからと言って通り過ぎたが、次の女は柄杓ですくって存分に飲ませてやった。坊さんは水よりもその心の清さに感じ入り、金剛杖で地を突いて水を湧かせ、遠くまで運ばずに済むようにしてやったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。