杉箸が根づいた若杉の逆さ杉
どんな伝承か
越中の上市町若杉には、八百比丘尼の来訪を伝える逆さ杉がある。孝徳天皇の代、若狭の姫が白子であったため尼となり、竜神から不老不死の薬を授かって八百年を生きたと語られる。その比丘尼は越中へも渡り、栃津の米山の岩屋にこもったのち若杉を訪れた。昼どきに大木の下で弁当を使い、食べ終えた杉箸を地面に挿して、やがて根づいて大樹となり、それが枯れるとき自分も死ぬだろうと言い残したという。比丘尼が去ったあと箸は芽を吹き、下より上が太い木に育ったので逆さ杉と呼ばれた。若杉という地名の由来ともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。