庚申待の客に招かれた竜宮
どんな伝承か
月夜野の小川で庚申待をしていたが、人数が五人しかそろわなかった。そこへ見知らぬ男が来て仲間に入れてくれというので加えたところ、次は男が宿をする番になった。男の家は利根川べりで、目をつぶって手をつないで来い、よいと言うまで開けるなと言われた。着いて目を開けると不夜城のようで、そこは竜宮だった。手厚い接待を受け、帰りに人の形をした不思議な土産をもらった清次は、それを紙に包んで持ち帰り戸棚に入れておいたが、みよという娘が食べてしまった。みよは親も兄弟も友も先立ったあとまで娘の姿のままで、のちに尼となって諸国を巡り、若狭の空印寺で生を終えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。