宿を疑われた時頼と焼かれた安養寺
どんな伝承か
昔、新川郡神成郷桜井庄に安養寺という大寺があった。僧形で諸国を回っていた西明寺入道時頼が越中へ入り、いまの三日市の地で冬の一夜の宿を乞うと、寺の僧は和尚が留守だからと断った。重ねて頼むと隣寺の了源和尚が取りなし、ようやく泊まることになったが、その夜盗賊が入って寺宝が奪われ大騒ぎとなる。僧は旅僧が賊と通じていたのではと疑い、持ち物をすべて取り上げた。中には北条家の家宝という三枚鱗の系図と源実朝の名笛があり、時頼は返すよう頼んだが聞き入れられず、あきらめて鎌倉へ帰った。のちに桜井庄を与えられた佐野源左衛門常世がこの無礼を怒り、寺を焼いて僧を追放した。土地のカジカの三つの鱗紋は北条家の紋だと伝える。
原典より
昔、新川郡神成郷桜井庄に安養寺という大きい寺があった。—— 日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。