大晦日に来た正月様の大判小判
どんな伝承か
名古屋市名東区猪高町猪子石に伝わる昔話。よく働くが貧しい老夫婦がいた。作った物を人が欲しがればただで与えるほど人がよく、年中貧乏していたが文句も言わず働き続けた。ある大晦日の晩、外でうなり声がするので戸を開けると、汚い身なりの男が倒れていた。二人は男を家に運び、二枚しかない布団に寝かせ、囲炉裏を焚いて夜通し温めた。正月の朝、声をかけても返事がなく、恐る恐る布団をめくると、中にはぴかぴかの大判小判がぎっしり詰まっていた。正月様がござった、と二人は喜び、村人たちは弘法様のお恵みだと語り合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。