中房山の魏石鬼と飯塚・耳塚
どんな伝承か
安曇郡の中房山に魏石鬼という鬼賊が住み、多くの鬼を配下として自ら八面大王と名のった。里に出ては財宝を奪い、女をさらい、神社仏閣を壊した。延暦十年に坂上田村麿が信濃へ下って討伐したが、逆襲を受けて苦戦する。筑摩の八幡大明神と栗尾の満願寺に祈願し、神仏の加護を得てようやく勝ちを収めた。鬼賊の首魁三十余を斬って筑摩神社の前にさらし、社壇の南西に埋めた塚は飯を盛った形に似るので飯塚という。小鬼は耳を削って放し、その耳を埋めた所を耳塚と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。