天狗に舞を教わった十六の若者
どんな伝承か
愛知県北設楽郡東栄町大字柿野字仲屋の話。ある年の冬、山で薪を束ねていた者の目の前が急に暗くなり、赤い顔と青い顔の、鼻の高い見識のありそうな人が現れた。目をつぶらされて負われて行くと、岩の上で檜の葉をまいて広い場を作り、大勢に舞を教えられた。腹が減るとオシロモチをもらい、煙草も吸わせてもらった。御殿山や平山明神を回り、晩方に「秋葉山にあげた木のもと木が今立にあるから、粗末にせず背負って行け」と言われ、六尺もある丸太を背負って帰った。家では大騒ぎで探していたが、大人一人では担げない木を背負って戻ったので、父の七三郎は天狗様へのお礼に般若心経をあげたという。その木は今も床の間に使われている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。