大杉に棲む山蜘蛛と巨人の足跡
どんな伝承か
岐阜県大野郡白川村小白川の話。小白川に数千年を経たと思われる大杉があり、枝は越中の成出村にまで達するほどの大樹で、魔性をもった山蜘蛛が住み、たそがれになると通行人を捕えて食ったので、里人は恐れてわざわざ山の尾根を回り道して帰った。あるときその話を村人から聞いた男が、よし俺が退治してやると巨人に身を変え(この巨人は八幡神だという)、「魔性あるものなら化けてみよ」と大声で言うと、山蜘蛛は豆になった。男はそれを掌に載せてひねりつぶしたとも、噛みつぶして庄川に流したともいう。以来、魔物は出なくなり、村人は巨人を産土神として祀った。祠のそばには、巨人が踏まえた足あとのついた岩が今もはっきり残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。