京丸の山腹に咲く白い大木の花
どんな伝承か
『煙霞綺談』が記す。秋葉山の麓にいぬる川という川があり、下流は天竜川に合して船や筏が通う。その川上、京丸という小村の片辺り、険しい山の腹に大木が二本立っている。遠くから望むと一本はおよそ四抱え、もう一本は二抱えほどで、初夏に花を開く。色は雪のように白く、径は一尺ばかりに見える。ほかに似たものが無いので牡丹と呼ばれている。近ごろ村の者に出会って尋ねたところ、紛れもない牡丹だという。土地では昔の内裏の跡でその花壇だったと言い伝えるが、これほどの深山に内裏を移すいわれはあるまい。村には昔から寺も宗旨も無く、人が死ぬと土地の者が集まり、親鸞上人自画の阿弥陀像を掲げ、念仏を唱えて葬るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第7巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全97話(愛知・岐阜・長野・静岡=中部)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。