海から網で引き揚げた金の阿弥陀像
どんな伝承か
佐倉の鏑木村にある千葉山海隣寺は時宗の寺で、縁起によれば、治承三年七月二十六日、千葉介常胤が家来を連れて海上に出て沖を眺めていると、海の上に不思議な光が見えた。網を打たせたところ、金色の阿弥陀像が揚がった。常胤は文治二年、馬加の地に一寺を建ててこの像を安置したのが寺の起こりで、海上月越如来と称した。はじめは真言の道場だったが、貞胤の代に一遍上人に帰依して時宗に改まり、他阿上人を中興とする。のちに馬加康胤が千葉介胤直を討って馬加から佐倉へ移った折、寛正年間に寺もこの地へ移されたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。