悪縁を断つ笹崎の袖振地蔵
どんな伝承か
土口の笹崎に、男女の縁を切るという変わった地蔵がある。袖振地蔵という。悪縁で結ばれた夫婦や、嫌う相手に付きまとわれて離れられぬ者が祈れば、必ず縁が切れると信じられてきた。雨宮の美女雲井の前は、夫の種津殿がお比礼に心を移して辛く当たるのを苦にし、淵へ身を投げた。残された兄妹の大多丸と万寿姫は、言い寄るお比礼との悪縁を断とうと笹崎の地蔵へ三七日の願を掛ける。呪われると曲解したお比礼は、花見に誘って二人を川へ突き落とす。満願の日にあたり祈りは届かなかったが、霊験はいよいよあらたかとされ、悪縁だけでなく疫病神や貧乏神まで払うと参詣が絶えない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。