浪小僧が知らせる遠州の波の音
どんな伝承か
昔、曳馬野に母と住む少年が、田を耕して小川で足を洗っていると、草の中から親指ほどの子供に呼び止められた。海に住む浪小僧といい、大雨でうっかり陸に出たが日照りで帰れないので海まで連れて行ってほしいと頼む。少年が助けてやると、なお日照りが続いて田が枯れかけた頃、海辺に浪小僧が現れ、雨乞いの名人である父に頼んで雨を降らせ、以後は雨の降る時は東南、上がる時は西南であらかじめ波を鳴らして知らせると告げた。まもなく大雨が降り、それからこの地方では波の音で天気予知ができるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。