神島を綱で引いた高御位山の神
どんな伝承か
播磨灘をあずかっている家島の大神と、対岸の高砂の高御位山にいる神との間に、かみ島(神島)をはさんで争いが起こった。家島の大神はかみ島は家島のものだと言い、高御位山の神は志方村のものだと主張した。高御位山のふもとの阿弥陀さんは神と神の喧嘩だとそしらぬふりで見ていたが、何年たっても話しあいがつかないので仲介に立ち、かみ島の女神にどちらが好きかと尋ねると、女神は家島の大神が好きだと言った。それでも納得できない高御位山の神は、夜のうちにかみ島を綱でしばり力まかせに引きよせはじめた。これを知った家島の大神は、家島一の腕自慢の孫兵ヱに大いかりをもたせてかみ島へ向かわせた。孫兵ヱが大急ぎで大いかりを海中に入れると、動いていた島は動かなくなり、綱はぷっつりと切れて、高御位山の神は雷のような音をして落ちてきたという。今も家島群島かみ島の南方に、孫兵ヱとも大いかりともいう暗礁がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。