犬まつりの由来となった狩人と二匹の犬
どんな伝承か
鮎河の三上六所神社では毎年九月七日に犬まつりが行われる。その由来として、狩人の三上三郎が雄雌二匹の犬を連れてこの地へ来た話が語られる。一軒家に宿を乞うと老婆が泣いており、聞けば十数戸あった集落は年老いた狸に人を傷つけられて絶えた家も多く、自分も今夜あたり命が危ないという。三郎は犬を盥の下に伏せ、自らはツシに上がって待ち構えた。真夜中に現れた狸は逃げ、追った犬が食らいついた場所を犬の口と呼び、今は井の口の字になっている。狸が息絶えた奥地は犬伏か谷、のちに犬を葬った場所は犬塚と呼ばれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。