鉦を鳴らして堤に入った市
どんな伝承か
倭文に大きな池があった。その池の堤がよく切れるので、困った村人は人柱を立てることにした。結局、言い出した「市」が立つことになった。「わし一人が犠牲になれば、この池の堤が切れないのなら」と言って、巡礼風の着物に袴、鉦と二十一日分の食料を持ち、堤深く掘られた穴へ入っていった。生きている間はずっと鉦を鳴らすため、息抜きの穴をしておくのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。