明神を迎える風が湖を荒らす日
どんな伝承か
比良八荒は、一名を比良の荒れともいう。毎年二月二十四日に比良の明神が釈迦岳の滝へ下りて沐浴されるとされ、この日は比良山から西風が激しく吹いて湖上がひどく荒れる。そのため近江国中の船は一艘も出さず、もし出せば必ず転覆すると言われた。比良の明神は鏡山の明神を恋い慕っておられ、この日に鏡山の明神が来られるので、比良の明神はその嬉しさに風を吹かせて迎えるのだという。鏡の明神はこの風に乗って渡って来られるとされ、船人はこの日をたいそう慎むという俗諺である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。