答志の石室に住んだ大賊と妻の墓
どんな伝承か
昔、伊勢三郎という大賊が女房とともに、答志村で岩室住まいをしていた。同村には現在も数か所に石室がある。あるとき、三郎とその家来が何事か密談をしているのを女房が立ち聴きした。それを知った三郎は、やにわに女房を殺してしまった。しかし三郎は女房の死後、一周忌ごとに女房のムショ、すなわち墓へ磯石を一つずつ建てかけることにしていたが、ちょうど十三の石を建てたのち、この村から姿を消してしまった。今の答志村の西方にある権現様がその女房のムショで、傍らには大きな松があったが、かつての大時化で倒れて枯れ、今は代わりの松が立っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。