栗を分けた子らと二度実る栗
どんな伝承か
奈義町頓地の子供が山へ栗取りに行った帰り、腹をすかせてよろけている坊さんに出会った。子供らは、食べなさい、といって取ってきた栗をみな差し出した。坊さんは喜んで、仏様の心そのものじゃ、これからは頓地には年に二度実がなる栗がはえるよう祈ってやろう、といって拝み、立ち去った。それから頓地には二度栗といって、年に二度実がなる栗ができたという。坊さんはお大師様だった。『なぎの伝説』が伝える一話で、親条にあたる奈義町中島東の二度栗とほぼ同じ筋を、より簡略な形で語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。