僧を打ち殺した下男と祟る聖石
どんな伝承か
昔、奈義町の近藤の小川で、下男が秋の終わりに大根を洗っていると、乞食のようなみすぼらしい僧が通りかかり、大根を一本恵んでほしいと頼んだ。下男は泥のついたままの大根を投げてやったが、僧がそんな泥だらけの物を食べるのかと言ったので腹を立て、逃げる僧を追いかけて棒で打ち殺してしまった。土地の者が僧を埋め、その上に丸い石を置いた。まもなく下男は狂い死にし、その石を動かしたり触れたりすると腹が痛んだり手足が立たなくなったりする。そこに生えた草木を切っただけでも不幸が起きるので、誰も手を触れず草木は伸び放題だという。殺された僧は諸国を回る高野聖だったといわれ、この丸い石を聖石と呼ぶようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。